5月29日放送のチコちゃんに叱られる!で
旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに?
旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに?
答えは、元廊下
詳しく教えてくださるのは
旅館建築に詳しい
京都府立大学大学院 准教授
松田 法子 先生(まつだ のりこ)
- 旅館の窓際にある椅子と机が置かれたあの例のスペースは元廊下で、元々長い廊下だったところを部屋ごとに区切った事から生まれたスペースで名前は「広縁(ひろえん)」
- 現在、多くの旅館の廊下は部屋に挟まれるように部屋と部屋の内側に設定されているものですが、明治時代以前に建てられた旅館の廊下は各部屋を取り囲むようにして部屋の外側に付けられる事が多かったとか。
- かつて宿泊客たちはこの外側を囲む外廊下(広縁)を使って部屋に出入りしていたんですね。
- この建築様式は旅館に限らず、江戸時代までの日本建築特有の物。
- こうする事で外から明かりが入りやすく、電気照明が無かった時代には適した作りだったんですね。
- 外側を開放的なスペースにしているので、壁に窓を付けるよりも多くの光が差し込んできますよね。
- さらに外廊下は長期滞在の宿泊客が自ら洗濯物を干したり、自分たちで食べ物を煮炊きする自炊するスペースとしても活用されていたとの事。
- このように理にかなった作りだったこの外廊下(遠縁)ですが、それがいつしか現在のような中廊下に変化。
- そのきっかけになったのが明治時代における外国人観光客向けの施策。
- 外貨を獲得したいという思いから欧米の住宅やホテルを模倣する形で作り変えられていったわけですが、
- というのも日本の伝統的な温泉旅館などの作りは大部屋をふすまで仕切って複数人が寝泊まりするスタイルが一般的だったのに対して、欧米ではプライバシーが保たれる個室が当然。
- となると大改造が必要となるわけで、
- 大きな一部屋をふすまで区切られている大部屋状態に中廊下を設置 (→大きな2部屋に)
- 部屋と部屋の間に壁を設置
- 各部屋の出入り口に鍵付きの扉を設置
- 使われなくなった外廊下を部屋ごとに区切る
- といった手順で個室化。
- これで外国人観光客も止まりやすい日本旅館が誕生。
- そしてこの外廊下は、後々になって畳に座る文化が無い外国人の為にイスやテーブルを置くスペースに。
- 確かにあのスペースだけ急に洋の匂いがするのはその為だったんですね。
- 1952年(昭和27年)に決められた国際観光ホテル整備法によると、
- 「いす及びテーブルの備付のある広縁その他の施設があること」
- とあの謎スペースの設置は義務になっていた事が分かります。
- そして今でもあのスペースが脈々と残っているのは、この法律に従った結果だったり、広縁がある構造が一般化して作られていたり。
- つまり現在の広縁というのは、元廊下を外国人観光客向けに有効活用した名残りと考えられるわけなんですね。
- 最後に広縁からの景色がお好きという松田先生が全国を旅して見つけたおすすめの広縁を紹介。
- 長野県 別所温泉
- 京都府 天橋立 旅館 文殊荘
- 京都府 俵屋旅館
チコちゃんに叱られる!旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!旅館の窓際にある「あのスペース」ってなに?
について情報発信させていただきました。