9月25日放送のチコちゃんに叱られる!で
硬貨に「製造年」が書いてあるのはなぜ?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!硬貨に「製造年」が書いてあるのはなぜ?
硬貨に「製造年」が書いてあるのはなぜ?
答えは、そういうデザインだから
詳しく教えてくださるのは
大阪経済大学 経済学部 教授
高木 久史 先生(たかぎ ひさし)
- 1円玉や10円玉などの硬貨に製造年が書いてあるのは…
- 言ってしまえば そういうデザインだからなんです。
- てっことは 特に理由はないってことですか?
- はい 今はありません。
- しかし 日本のお金の単位が「円」になり 貨幣制度が近代化された時には…
- 硬貨に製造年が刻まれる理由があったと考えられます。
- 関わっていると考えられるのが 金本位制です。
- 金本位制とは 金をお金の価値の基準とする制度のこと。
- 国が持っている金の量に応じて通貨を発行し…
- その通貨を同じ価値の金と交換できることを国が保証します。
- この制度が始まったのは 19世紀初頭のイギリス。
- 産業革命で 一躍 世界経済の中心となったイギリスは大量生産した商品を世界中に売ろうとしたのですが…
- 当時 各国の通貨の価値は国によってさまざまで 世界共通の基準がありませんでした。
- つまり アメリカの1ドルがイギリスのポンドだと いくらになるのか…
- ハッキリとわからなかったのです。
- そんな状態で 世界中と貿易をすることに不安を感じたイギリスは…
- 世界共通の価値を持つ金を基準とする金本位制を世界で初めて採用。
- イギリスが保有していた金の量に合わせて通貨を発行し…
- 1ポンドを金およそ7.3グラムと定めました。
- この金本位制を世界中の国が取り入れれば 各国と安心して貿易ができると考えたのです。
- 実際 イギリスと貿易をしたい アメリカやフランスなどが金本位制を導入。
- その国が持っている金の量に合わせて通貨を発行するようになりました。
- これによって それぞれの国のお金どうしの価値を比べることが簡単になったんです。
- アメリカは1ドルを金およそ1.5グラムと定め金貨を発行。
- つまり1ポンドは5ドルと ほぼ同じ。
- フランスは1フランを金およそ0.3グラムと定めました。
- つまり1ポンドは24フランと ほぼ同じ価値ということになります。
- 欧米の国々が金本位制を取り入れつつあるのを見た日本も…
- それに追いつこうとして1871(明治4)年に金本位制を取り入れます。
- 日本は1円を金1.5グラムと定め その金の量を含んだ1円金貨を作ることにしました。
- しかし それまで日本が作っていたお金が世界で信用度が低かったんです。
- 実は明治維新直後 つまり1871(明治4)年以前も金貨 銀貨を造っていたんです。
- それがこちら
- 明治二分判金
- 明治一分銀
- どちらも明治時代に造られたものですが 偽造が多く 品質も悪かったため…
- 日本のお金は外国から信用を失っていました。
- そんなときに 新しいお金を造ったところで…
- 「これ本当に金1.5グラム入ってるの?」と疑われるのは当然ですよね。
- そこで明治政府は イギリスから硬貨を造る機械を購入し…
- 1.5グラムの金がちゃんと含まれている硬貨を製造。
- その時に製造年を入れることで…
- その年に造られた金貨には 間違いなく金1.5グラムが含まれているということを明治政府が保証したのです。
- その後も毎年硬貨に含まれる金の量を検査し…
- ちゃんと正しい量が含まれている事を世界に向けて公表。
- もし 硬貨に含まれる金の量を変えた年があったとしても…
- 製造年が書かれているので 直ぐにその硬貨の価値がわかることに。
- 実際 1897(明治30)年に金貨に含まれる金の量を…
- それまでの1.5グラムから0.75グラムに変えた際 製造年が刻まれているおかげで
- 他の年に造られた金貨との価値の違いが一目でわかりました。
- こうして 日本の硬貨は世界から信用を得たのです。
- その後 世界的に定着していた 金本位制ですが 次第に終わりを迎えます。
- 金本位制では その国が持っている金の量と同じ分しかお金を発行できないのですが…
- 第一次世界大戦で世界の国々は軍事品を金で大量に購入したため…
- お金を発行するのに必要なだけの金が無くなってしまったのです。
- こうして その時の経済状況によってお金の発行量を自由に管理できる…
- 現在の管理通貨制度へと徐々に移行していき 金本位制は終わっていったのです。
- 現在 私たちが普通に使っている硬貨は金が含まれておらず…
- 金属の価値と硬貨の価値とは関係がありません。
- そのため 本来であれば製造年を刻印する必要はありませんが…
- 金貨が流通していたころの名残から現在も硬貨には製造年が書かれていると考えられています。
- つまり 今となっては硬貨に刻まれた製造年というのはデザインの一部みたいな物なんです。
- あと あった方が なんとなく締まりが良くなるように 高木先生は思っています。
- 言われてみれば…
- ちなみに紙幣には製造年は書いてないですよね。
- なぜかといいますと 紙幣は硬貨と違って 寿命は長くてせいぜい4~5年なんです。
- 市場に出回って古くなった紙幣は 日本銀行へ戻され 汚れや破れの程度…
- 偽札が紛れ込んでいないかなどのチェックを受け使えないと判断された紙幣は裁断され
- そのほとんどが焼却されるのです。
- 紙幣の寿命は平均4~5年なので ますます製造年を入れる意味がありません。
- ところで 古くなって裁断された紙幣 焼却されなかった分がどうなるのかというと…
- 最近は 様々な物へ リサイクルされるようになっています。
- 例えば ATMの横に備えつけられている現金袋。
- 1袋分の素材の30%に1万円札がおよそ1枚分混ざっています。
- 無料で使えますが 実は1万円。
- トイレットペーパー。
- 1ロールに混ざっている紙幣の量は 物によってまちまちですが…
- 最大150枚分のお札からできている可能性も。
- お値段 およそ50円ですが すべて1万円札でできていたら最高で150万円。
- そうとも知らず ついムダ使いしていませんか?
- へ~スゴいですね!何か。
- はい これを もし元の紙幣に戻すことができればウハウハですね。
- 絶対に無理です!
チコちゃんに叱られる!硬貨に「製造年」が書いてあるのはなぜ? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!硬貨に「製造年」が書いてあるのはなぜ?
について情報発信させていただきました。