9月23日放送のチコちゃんに叱られる!で
消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
答えは、温度が上がると透明になるインクができたから
詳しく教えてくださるのは
消せるボールペンのインク開発に携わった
パイロットインキ株式会社 開発責任者
千賀 邦行 先生(せんが くにゆき)
- 消せるボールペンで書かれた文字は消えてなくなるわけではなく…
- こすった摩擦熱によってインクの色が透明に変化しているんです
- インクが透明になるとは どんな仕組みなのでしょうか?
- 一般的なインク(顔料インク)は液体の中に色のもととなる小さな粒が入っています
- 透明になるインクは その色のもととなる粒を小さなカプセルにしてABC3つの成分をいれました
- A(発色剤)は色の元となる発色剤:もともとは無色なのですがB(発色させる成分)とくっ付く事で発色してインクに色付けます
- B(発色させる成分)
- C(変色温度調整剤)の成分は普段眠っている状態ですが温度が上がると目を覚ましB(発色させる成分)を引き寄せA(発色剤)から離します
- するとA(発色剤)は発色できなくなりインクの色が透明になるというもの
- そして温度が下がるとB(発色させる成分)はC(変色温度調整剤)と離れA(発色剤)とくっ付いて また発色するというものです
- このインクの原理は 今から半世紀ほど前にパイロットインキが発見した画期的なインクだったんですが…
- この消せるボールペンのインクまで30年以上 たくさんの寄り道をすることになったんですね
- ここで始まる「チコジェクトX 挑戦者たち」
- 「文字は消えても夢は消えない ~消せるボールペン誕生物語~」
- デジタル化が進み筆記具を使う機会が減りつつある中
- 発売から15年
- 異例のヒットを続けている消せるボールペン
- 実はこのペンのインクは 筆記具メーカーで生まれたにもかかわらず…
- 時におもちゃ用のインクと言われ 筆記具とはまったく関係のない場所で使われ続けた
- 「いつかは本業の筆記具で使いたい」
- 研究者たちは挑み続けた
- そんな中 放たれた あるフランス人の一言
- それが筆記具の歴史に大きな筆跡を残すことになった
- これは消せるボールペンの誕生まで30年間さ迷ったインクと研究者たちの物語である
- 大阪万博が開かれた1970年
- パイロットインキの研究者が新たなインクの研究を始めた
- 千賀さんの大先輩の研究者が紅葉した山を見て「あの葉っぱのように温度の変化で色が変わるインクは作れないものか?」って考えました
- 様々な化学薬品の配合を試し続けること1年
- 出来上がったインクを少し温めてみると透明に変わった
- 温度で色が変わるインク…
- 画期的な発明だった
- しかし大きな問題に気付いた
- 「すぐに商品にはならない」
- 「ビーカーの中では成功したんですがインクとしては発売するには色が薄かったり カプセルが弱かったり改良点がたくさんあったと聞いています」
- 研究開始から5年
- ようやくこのインクを使った商品が生まれた
- それは筆記具とは 程遠い「魔法のコップ」
- 冷たい飲み物を注ぐと枯れ木に花が咲く
- 常温では透明だが 温度が下がると色が出るインクが使われた
- 初めて見た者は 驚いた!
- しかし 飲み終わるとゴミ箱に消えた
- 簡単に捨てられないコップを作った
- 何度か使うと感動は消えた
- 1985年 新たな商品が生まれた
- 水の入った鍋にエビフライを入れると こんがり揚った
- 子どもは喜んだ
- しかし これはおもちゃ
- 筆記具から更に遠ざかった
- このころ1人の若者が 研究チームに加わった
- 千賀晋之 22歳
- 「”しょせんおもちゃ用のインクなんだろう”なんていう人もいたのですが 私はこのインクに すごい可能性があると信じて入社しました 実際 私たちの研究室は毎日 夜遅くまで研究と議論を繰り返して不夜城なんて呼ばれていました」
- このころ研究チームには 目指すモノがあった
- 「温度が上がり1度変化した色を温度が下がってもキープしたままにできないか」
- 千賀さん「それまでの色の変わるインクは 例えば30度以上で色が消え30度以下になるとまた元の色に戻ります」
- 「これに対して30度以上で色が消えた色が温度が下がっても消えたままキープして10度以下まで下がるとやっと色が戻ってくる そういうモノを考えたんです」
- 1988年 チームは色をキープさせる技術を確立
- するとアメリカのメーカーから ある依頼がきた
- 「そのインクを使って かわいい人形を作って欲しい」
- メーキャップ人形
- 水で冷やしたスポンジを唇にあてると 口紅が
- そして 目に当てると鮮やかなアイシャドーが浮き出た
- 温めるとスッピンに戻り 何度も楽しめた
- でも これもおもちゃだった
- 「この人形がアメリカですっごく売れたんです このヒットが無ければ 色が変わるインクの研究は ここで終わっていたかもしれません おもちゃに救われました」
- 千賀さん「社内での評価も上がったので”筆記具にこのインクを使えないか”という研究が本格化していきました」
- 21世紀になると会社は「色が変わるインクを筆記具に使う」という方針を発表
- 色が変わる原理が発見されてから 実に30年が経っていた
- そして生まれた筆記具が「こすると色が変わる不思議なボールペンILLusion」(2002年発売)
- 普通に書くと黒
- しかし こすって熱を加えると色が変わる
- このボールペンは新しいモノ好きの若者が買った
- しかし イリュージョンのように消えた
- 残念ながら 我々が期待したほど 世間は評価してくれませんでした 面白いペンなんですけど何度も使ってもらえるような実用性はなかったんでしょうね
- 「このインクを筆記具としていかしたい」
- 研究者たちは悩んだ!
- そんな時 1人のフランス人が来日
- フランスのグループ会社社長 マルセル・ランジャール
- ランジャールは言った「黒い文字が赤になるのではなく 黒が透明になるインクは作れないのか?」
- 研究者たちは口をそろえた「それは最初からある」
- ランジャールが求めたモノこそ…
- 消せるボールペン
- ”ヨーロッパでは絶対に売れる環境があるから 是非とも作って欲しい”ということでした
- われわれ日本人は 勉強するときに鉛筆を使い 間違えたら消しゴムで消す
- 一方 ヨーロッパでは 小学生の時から勉強にはボールペンや万年筆を使うのが当たり前
- 間違ったら修正液で消す
- その わずらわしさがあった
- だからボールペンの文字が消せれば生徒たちが飛び付くと考えた
- 「ただ 消せるボールペンとして発売するには乗り越えなくてはならない壁がありました」
- 「猛暑の日でも書いた文字が簡単に消えず かなり高い温度で一度消えた文字は冬の寒い場所でも消えた状態を保ち続ける温度設定にしなくてはなりませんでした」
- その結果 消せるボールペンのために生まれたインクの温度設定は…
- 暑いところでは 65℃で色が透明になり
- そして温度が下がっても透明の状態が続き-20℃になると やっと元の色に戻る設定にした
- 2006年 消せるボールペン ヨーロッパデビュー
- 売れた! 売れに売れ店頭からペン自体が消えた
- 2007年 日本でも売ってみた
- 売れた! バカ売れした
- 初めてインクが透明になって 実に36年の月日が経っていた
- 「いや~長い道のりでした 本業の筆記具とはちょっと離れた寄り道がたくさん経験できまたからこそ 今までになかったボールペンができたんじゃないかなと思います 文字は消せても”いつかは筆記具に”という研究者たちの夢は消えることはなかったですね」
- 「魔法のコップ」から30年
- 色が変わるインクは「消せるボールペン」となり世界で30億本が売れている(2019年現座)
- デジタル時代に手書きを強いられる場面で ここ一番覚悟を持てない人の助けになっている
- 消せるボールペン
- しかし そのペンには 少々
- 「宛名など消えてはいけないモノには使用しないでください。」と書かれている
- 透明になる温度が65℃なのは なぜかというと…
- 力の弱い子供や女性が専用のラバーで紙の上をこすったときに出せる温度が65℃だったからということです
- ※消せるボールペンには 温度以外の仕組みで消せるものもあります。
チコちゃんに叱られる!消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
について情報発信させていただきました。