9月17日放送のチコちゃんに叱られる!で
視聴者の松田共由生(5才・まつだ ともゆき)さんから
ごはんを入れる器を「お茶わん」というのはなぜ?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!ごはんを入れる器を「お茶わん」というのはなぜ?
ごはんを入れる器を「お茶わん」というのはなぜ?
答えは、焼き物の器はどんなものでも「お茶わん」と呼ばれていたから
詳しく教えてくださるのは
東京大学 教授 静嘉堂文庫美術館 館長
河野 元昭 先生(こうの もとあき)
- 茶わんというのは もともとその名前の通りお茶を飲む器として中国からお茶と一緒に伝わってきたと考えられています
- 古くは平安時代の文献に「茶」という言葉が登場していて 日本人とお茶 そして茶わんとの関係は1000年以上も続いているんです
- このように 古くから日本人と関りのあるお茶ですが 昔のお茶は 今とは少し違う存在だったようで
- 鎌倉時代に書かれた「喫茶養生記」という書物では お茶のことが「病気に効く薬」と書かれています
- 当時のお茶は 現在のように一般的な飲み物ではなく身分の高い人だけが薬として口にできる高級品だったのです
- どうように お茶を入れるための茶碗も そのほとんどが中国から輸入されたものであり高級品だったんですね
- その後 国内でも積極的に お茶が作られるようになり室町時代以降 徐々に薬としてではなく 現在と同じく純粋に飲み物として お茶を飲むように変化していきます
- 一服一銭という道端でお茶を売る人がいたり
- かの有名なお茶人の千利休が活躍した それもこのころのことです
- そして貴族だけではなく 多くの人がお茶を飲み茶わんに触れるようになった この時代
- この茶わんとという言葉には2つの意味が存在していたんです
- 1つが お茶を入れる器という意味の「茶わん」
- そして もう1つが 用途や形に寄らないで焼き物全般を表す意味で「茶わん」
- という言葉が使われていたんです
- お茶の器
- 焼き物全般
- えっ! ということは焼き物が全部 茶わんということですか?」
- そうなんです
- 当時の文献には 現在でいう焼き物の香炉やロウソクのための燭台(しょくだい)も茶碗と書かれています
- その他にも花瓶や鉢など お茶を飲む容器以外でも焼き物であれば全て茶わんと呼んでいたのです
- おそらく当時の人々にとって 「お茶」というものが非常に重要で身近なものであったために焼き物全体を表す言葉として「茶わん」という言葉が使用されたのではないかなと思いますと先生はいいます
- 番組D「確かに日本人ってお茶好きですよね 河野先生もお茶は好きですか?」
- 河野先生「どちらかというと お酒かな おちゃけ ですね」
- とにかく茶わんが 焼き物全体を表す言葉だったため 現在のご飯を入れる器を茶わんと呼ぶ文化が生まれたと河野先生はおっしゃいます
- というのも…
- 江戸時代以降 日本の焼き物技術が高まり大量生産が可能になったことで値段もお手頃になっていくんです
- それまで ごはんは木のお椀に入れて食べるのが一般的できでしたが 焼き物の普及により…
- そこに ごはんを入れて食べる人々が増えていったのです
- このような変化が起こった原因の1つとして考えられるのが ごはんのこびりつきやすさなんです
- 少しでも食べ残しがあるまま ほっておくとごはんは硬くなって器にこびりついてしまいますよね
- 一般的な木のお椀に比べ 焼き物のお椀のほうが表面が滑らかでごはんが こびりつきにくいんです
- そのため ごはんを焼き物の器で食べるようになり もともと焼き物が茶わんと呼ばれていたのでごはんを食べる器も茶わんと言われるようになった このように思われますと先生はいいます
- 番組D「大変よくわかりました じゃ本日は こちらで失礼させていただきます」
- 河野先生「もうかえるんですか?せっかく静嘉堂文庫美術館にお茶わんの話を聞きに来てアレを見ないで帰る これはないでしょう」
- 番組D「あれ?」
- 河野先生「世界一のとんでもない”お茶碗”があるんです これを見ないで帰ったら それこそ チコちゃんに叱られますよ」
- ということで世界一の茶碗を見せていただくことに
- 番組D「何が世界一なんですか?」
- 河野先生「万人が腰を抜かすような 魂を奪われるような美しさ」
- 番組D「俄然楽しみになってきました」
- ※現在、静嘉堂文庫美術館は移転作業で閉館中のため特別に撮影させていただきました
- 河野先生「是非期待していてください どうぞ こちらにいらしてください」
- いよいよ対面の瞬間!
- 河野先生「世界一のお茶わん これなんです」
- これこそが世界一のお茶わん
- これは 曜変天目 という お茶を飲むためお茶わんで…
- 完全な状態では世界に3椀しかないとされている国宝の一つなんです
- かつては 徳川将軍家が所有していたほどの銘品である このお茶わん
- その特徴が 内側にある斑点
- この周囲に鮮やかな色合いが出ていますが 狙ってだしたのではなく 窯の温度、空気の状態、焼き時間などがピッタリと合って生まれた偶然の産物なんです
- その希少性から 大正時代におこなわれた取引では現在の価格にして数十億円の値段が付いたと言われています
- 現在でも多くの陶芸家がこの色合いの再現、復元に資材を投げ打っていますが ここまで美しい色合いを出すことは極めて難しい
- ほとんどできないんです
- 木のお椀の中でも漆塗りのお椀は 表面が滑らかになっていて ご飯がこびり付きにくいんです
- 現在でもご飯を入れる器として使用されています
チコちゃんに叱られる!ごはんを入れる器を「お茶わん」というのはなぜ? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!ごはんを入れる器を「お茶わん」というのはなぜ?
について情報発信させていただきました。