3月5日放送のチコちゃんに叱られる!で
視聴者の松村清太くん(5さい+5さい)からの質問で
「人一倍」はなぜ「人二倍」じゃないんですか?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!「人一倍」はなぜ「人二倍」じゃない?
「人一倍」はなぜ「人二倍」じゃない?
答えは、昔は「一倍」が「二倍」だったから
詳しく教えてくださるのは
辞書編集一筋40年
東京・神保町 日本国語大辞典・元編集長
神永 暁 先生(かみなが さとる)
- 「一倍」というのはですね 明治初期頃までは×2 つまり「二倍」の意味だったんです。
- 私達は普通 リンゴ 1個の一倍というと リンゴ1個と考えがちですが…
- 実は明治初期までは 「一倍」というとリンゴ2個のことを表現していたのです。
- 平安時代末期に書かれた「今昔物語集」という説話集にありまして…
- その中に とても分かりやすい例があるんで見ていただきたいなというふうに思います。
- ということで訪問したのは 東京・日野市 実践女子大学の図書館 貴重書庫室。
- 人一倍厳重に保管されている「今昔物語集」を特別に見せていただきました。
- 『今昔物語集 巻第十四』に書かれた説話。
- この貴重な資料を紐解いてみると。
- お坊さんが金貸しとなり自分の婿にお金を貸すという物語の一文に…
- 「一年ヲ経ルニ借レル前ノ銭一倍シヌ」
- 意味は?
- 「一年経って借りたお金が二倍になるっていう高利貸し」なんですけれども。
- その部分を「一倍」っていう言葉で表現してるんですね。
- つまり 一倍とは 今でいう二倍。
- だから 人一倍頑張ったというのは 他人に比べて二倍頑張ったということになります。
- さらに 明治以前は 倍のほかに 層倍(そうばい) という表現もありました。
- 今でいう「×1」を「層倍」といい。
- 「×2」を「一倍」もしくは「二層倍」
- 「×3」を「二倍」もしくは「三層倍」
- 「×4」を「三倍」もしくは「四層倍」
- ややこしいと思った 記事を読んでいるみなさん…
- ブログを書いている私もそう思っています。
- ところが 西洋文化が日本に入ってきまして「×2」になって「二倍」になるということになったわけですね。
- どういうことかというと!?
- 明治以前は 日本では一倍は ×2のことでした。
- 明治以降は 二倍という言葉で ×2表現する言葉に変わったのです。
- あれっ?
- 一倍は×2?
- 二倍が×2?
- 層倍が×1?
- 当時の人たちも きっと混乱したはずです。
- そこで 1875(明治8)年に公布された『太政官布告』で…
- 一倍と表記していた ×2のことを すべて二倍と表記することに決定。
- 今まで使っていた 「一倍」という表記は禁止されましたが…
- 人一倍という言葉は そのまま使われ続けたようです。
- 人一倍は…
- そのまま使われ続けましたが 西洋文化の導入によって変化した言葉もあったといいます。
- 一日中といったことを意味する 四六時中っていう言葉がありますよね。
- 昔は じゃあ 何と言ったのかというと二六時中っていってたんですね。
- 江戸時代は 子の刻 午の刻 など 一日を12分割で表していました。
- 昼の六つと夜の六つを合わせて 丸一日を 2×6で二六時中と洒落を使って表現しました。
- しかし 1873(明治6)年 24時間制が導入されると。
- 一日を24時間にわけました。
- そこで 12を24にするため 2×6から4×6に変え…
- 四六時中という言葉が 生まれたと言われています。
- このように 明治になると…
- 西洋の思想が つぎつぎと取り入れられ 日本語にさまざまな影響を与えました。
- つまり 西洋の思想には それまで日本に無かった概念が多く存在するため…
- その概念を表現する日本語を新たに作り出す必要があったのです。
- 例えば 英語の Speech(スピーチ)という言葉。
- 意味は 議会や民衆などの前で自らの主張を述べること。
- ところが…
- 当時の日本では 自分の意見を主張するためには紙に書いて文章で伝えるのが一般的でした。
- そこで スピーチという言葉の意味を説明するために…
- お坊さんが説法をする様子を表す 仏教用語の「演説」を当てたと言われています。
- この演説という言葉を現在の意味に定着させた人物が 福沢諭吉(ふくざわゆきち)。
- 「学問のすゝめ」では「演説」を英語で「スピイチ」ということが説明されています。
- 他に…
- 「自由(librety)」
- 「討論(debate)」
- 「経済(economy)」
- 「動物園(zoo)」なども 福沢諭吉 によって広まった言葉だと言われています。
- ちなみに「LOVE(ラブ)」という言葉には「愛」という言葉が当てられましたが…
- もともと「愛」は仏教語なんですけども「何かに執着する」という言葉なんですね。
- 「愛」という言葉は 今のような「いとおしむ」という意味ではありませんでした。
- 現代の意味で使われ始めたのは明治に入ってからだと言われています。
- 当時は「愛してる」などの直接的な表現は避けられていて…
- あの文豪 夏目漱石(なつめそうせき)は英語の教師をしていたときに
- 「L LOVE YOU」という言葉を「月がきれいですね」と訳したとか 訳していないとか。
- つまり日本語って「カタカナ」という便利なモノがあって…
- それで書き表すと なんか言葉になっちゃう というところがありますから。
- そうじゃなくて ちゃんとみんながわかるように漢字を付けて…
- 一つの語に仕立ていくっていう作業ってスゴイことだと思いますねぇ。
- 社会・権利・自由・科学・時間・過程・常識・冒険・個人・電報・哲学・衛生・概念・印象・世紀・恋愛・理想など
- 概念が無かった言葉を新たに作り出した 明治の先人たち。
- しかし 現代人といえば…
- 現時点での「フィードバック(feedback)」…
- この案件についての「スキーム(scheme)」を…
- しっかり「ファクト(fact)」に基づいているのか…
- 弊社が責任をもって「コミット(commit)」しますので…
- 「ストレージ(storage)」「エビデンス(evidence)」「シェア(share)」「インバウンド(inbound)」と
- わかったような顔をして横文字 使っていますよねぇ。
- ちゃんと翻訳した言葉があるのであれば みんながわかるように 使ってもらいたいなっていう…
- 神永先生 わたくしも「アグリー(agree)」です。
- 「アグリー(agree)」:同意する
チコちゃんに叱られる!「人一倍」はなぜ「人二倍」じゃない? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!「人一倍」はなぜ「人二倍」じゃない?
について情報発信させていただきました。