8月9日放送のチコちゃんに叱られる!で
不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?
不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?
答えは、ヒールを履いた鈴木深雪さん
詳しく教えてくださるのは
国内唯一の不動産学部で不動産のルール研究をしている
明海大学 不動産学部 教授
中城 康彦 先生(なかじょう やすゆき)
- 例えば不動産広告に「徒歩10分」って書いてあるのに…
- 「実際は13分かかった」「8分で行けたよ」こんなことがあるかもしれません。
- 実は これは 不動産屋さんがウソをついているわけではありません。
- 不動産の徒歩所要時間は 「道路距離80mにつき約1分間」と決められているんです。
- この基準になったのが 鈴木深雪さんなんです。
- 番組D「誰ですか?先生」
- 中城先生「まぁ まぁ 慌てないでください 順番にいきましょう」
- 1963(昭和38)年にできた宅地建物取引の表示に関する公正競争規約を見てみると。
- 確かに「徒歩による所要時間については、80メートルにつき約1分間」と書かれています。
- ちなみに1分間で80mを歩くことをマスターしたスタッフが渋谷のスクランブル交差点を歩くと通行人とほぼ同じくらいの速さであることがわかりました。
- 1990(平成2)年に人の歩く速度について書かれた論文があるんですけど…
- 10歳から60歳の男女の平均速度は1分間に77.3mでした。
- 徒歩1分80mというのはいい基準ではないでしょうか。
- では なぜ自宅までの徒歩時間を長く感じる人がいるのでしょうか?
- 実は ほかのルールも関係してるんですよ。
- 番組D「鈴木さんが全然出てこないんですけど?」
- 中城先生「焦ってはいけません 鈴木さんの話をするためには まず不動産広告のルールを勉強することが大事なんです」
- ということで徒歩時間を長く感じてしまうルールがわかりやすく説明できる東急電鉄・恩田駅徒歩15分の物件を先生と歩いて確認。
- 番組D「スタートは もうここでいいでうよね」
- 中城先生「はい この駅の場合には 改札口と駅の出入り口が同じですので ここからでよいです」
- 番組D「えっ! 違う場合もあるってことですか?」
- 中城先生「改札と駅の出入り口が違うときがございます そのときには駅の出口からになります」
- つまり「徒歩〇分」のスタート位置は改札ではなく駅の出入り口。
- 改札から出入り口まで遠い駅は駅の出入り口までの徒歩時間は「徒歩〇分」には含まれません。
- さらに距離の出し方は駅と家を結ぶ直線距離ではなく もっとも短い道で出す決まりになっています。
- 番組D「行きましょう」
- 物件に向かってスタート。
- 物件までの道順は地図アプリで調べた最短ルートを使用。
- 徒歩15分の物件 はたして何分で着くのでしょうか?
- そこに…
- 番組D「おっと!先生 踏切じゃないですか!」
- 中城先生「踏切ですねぇ 信号・遮断機降りました」
- 番組D「先生 この踏切はカウントされるんですか?」
- 中城先生「いや 含まれません」
- 番組D「含まれない」
- 中城先生「信号にかかるだとか踏切にかかるとかですねぇ ケースバイケースですので徒歩所要時間にはできないんですね」
- 番組D「なるほど!なるほど!」
- さらに…
- 番組D「うわぁ!坂道じゃないですか!? まぁまぁの坂道じゃないですか」
- 中城先生「坂道ですねぇ! 結構 自転車じゃ大変なくらいの坂道ですねぇ」
- 番組D「先生 この坂道は?」
- 中城先生「カウントされません」
- 番組D「やっぱり!」
- 坂道や長~い階段でも普通の道と同じ扱い。
- 「徒歩1分80m」はあくまで地図上での距離になります。
- 番組D「先生 鈴木さんの話は?」
- 中城先生「はい まだです もう少し経験してからで」
- そしてようやく物件に到着。
- 中城先生「あ~ ちょっと待ってください」
- 番組D「どうしました?」
- 中城先生「ここですよ」
- 事情は分かりませんが ここでタイムをストップ。
- 番組D「えっ! でも入口そっちですよ」
- 中城先生「はい あの入り口ではなくって一番近い敷地の場所が基準になります」
- 番組D「この敷地のところからなんですね」
- 中城先生「そうなんです 敷地から自分の部屋までもいろいろですので 統一的に定められる場所として敷地の一番近い所っていうふうになっています」
- そして物件までにかかった時間は?
- 徒歩15分の物件でしたが 通り過ぎた時間を差し引いて19分25秒。
- このように実際に歩いてかかる時間には多くのルールが関係していることがわかりました。
- 先生の言う通り不動産のルールを学んだところで…
- 番組D「じゃぁ 鈴木深雪さんっていうのは結局どんな方なんですか?」
- 中城先生「鈴木深雪さん不動産の広告表示のルールを決めた責任者なんです」
- お待たせしました!
- 徒歩〇分の基準となったのが鈴木深雪さん。
- 東京大学を卒業後 公正取引委員会事務局に入り 我々消費者のために熱心に取り組んでくださった方。
- 鈴木さんは3年前にお亡くなりに。
- しかし同僚でもあった夫の満さんに当時のお話を伺うことができました。
- 番組D「奥様が徒歩1分=80mの基準になっているっていうのはどんな感じなんですか?」
- 鈴木満さん「え~ 亡くなってからも こういう話題にしていただけるっていうのは立派な女性だったっていうんで ずっと尊敬していますけどねぇ」
- 満さんが深雪さんを尊敬するのには理由がありました。
- 満さん「不動産というのは当時不当表示が凄く横行していたんですね」
- 昭和30年代といえば住宅が足りなかった時代。
- 住宅を求める消費者に対して不動産広告にウソの表示や大げさな表示が増えていました。
- 例えば ある広告には…
- まるで東横線・武蔵小杉駅から女性や子供でも徒歩6分の物件のように書いておきながら実際に家があったのは武蔵小杉駅から35km 車でもおよそ40分離れた町田辺りだったとか。
- また別の広告もウソだらけ。
- 土地の持ち主もウソで最寄りの駅もウソ。
- さらに幅18mの国道にも面していなければ水道も引かれていませんでした。
- 満さん「「不当表示を規制して欲しい」という消費者団体からの要請が強くて それで景品表示法という法律が制定されたことになったんですね 彼女は法学部でいて法律の専門家だから「不動産の公正競争規格」の制定の担当者になったんですね」
- 20代の若さで不動産ルールの責任者になった深雪さん。
- 番組D「どういう方だったみたいな何かありますか?」
- 満さん「弱い者の味方 芯は強いんですよね」
- 正義感溢れる深雪さん。
- ここから不動産業界との闘いがありました。
- 満さん「不動産というのは駅から近い方が価値があるんですよ 業界から1分は徒歩100mにしたい!という提案があった」
- 1分間に歩ける距離を長くして徒歩〇分を少なくした方が物件を売りやすくなるからです。
- しかし それを聞いた深雪さんは…
- 満さん「「それはちょっと速すぎるんじゃないの」実際に自分で歩いてみようというので」
- 消費者が損をするルールは作れない。
- 深雪さんは自らの正義の元 女性でも歩ける基準にするべきと考え自ら1分間で歩ける距離を計測。
- 満さん「彼女は山歩きが趣味だったんですね 案外 足が速いんですよ」
- アウトドア派だった深雪さんは ハイヒールなど持っていなかったため自分の持っている靴のなかで一番かかとの高い靴を履きゆっくりと歩いて女性でも歩ける距離を測ったのです。
- 満さん「自分で実際に歩いたら80mくらいが適当じゃないのということで業界に提案をし業界もそれを受け入れて1分80mのルールができといういきさつなんですね」
- そう つまり「徒歩1分=80m」は深雪さんが消費者の事を思って量った誰に対しても公正な速さなのです。
チコちゃんに叱られる!不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!不動産広告の「徒歩○分」ってなに基準?
について情報発信させていただきました。