8月21日放送のチコちゃんに叱られる!で
なぜ指揮者は手を振る?
という質問がありました。
チコちゃんに叱られる!なぜ指揮者は手を振る?
なぜ指揮者は手を振る?
答えは、一瞬先の未来を演じているから
詳しく教えてくださるのは
音楽史研究の第一人者
国際基督教大学 名誉教授
金澤 正剛 先生(かなざわ まさたか)
- とっても偉い先生に まずは番組Dが かねて思っていたことを 思い切って聞いてみました。
- 番組D「本当に失礼な話かもしれないんですけども 指揮者って必要なんですか?」
- やはりマズイ質問だったのでしょうか?
- 金澤先生「いや 必要なんですよね」
- 金澤先生「なぜかというと 指揮者は作曲家が書いた楽譜を見て どんな曲かというのを 頭に浮かべるわけですよ」
- 金澤先生「そして今度 それを演奏者に演奏してもらうために手や身振りでもって 自分の解釈を演奏家に伝えるわけです」
- つまり 私たちは指揮者の頭の中で鳴った音楽を聴いているのです。
- 番組D「手の動きだとかは決まりがなんかあるんですか?」
- 金澤先生「特にありません ですから その人が考えたとおりで」
- なんと 手の動きには これといって 決まりやルールはなく人によってバラバラ。
- 指揮者によって どれほど違うのかというと…
- 20世紀を代表する指揮者「楽団の帝王」と呼ばれたヘルベルト・フォン・カラヤン。
- 力強く上品な曲に仕上げる指揮が…
- 特徴はなんといっても 力強く切れのある手の振りかた。
- 堂々たる指揮振りは まさに帝王そのものです。
- 一方 楽譜に忠実で緻密な指揮で有名な巨匠 カール・ベームは…
- 必要最小限しか手を降らない省エネスタイル。
- わずかな動きで表情豊かな楽曲に仕上げる指揮はお見事です。
- 日本のクラシック界を支えてきた指揮者の一人である 山田一雄さん。
- 興奮すると飛び跳ねてしまうほど 激しく情熱的な指揮で知られる山田さんですが…
- 静かに演奏させるときは その手は口元に!
- まるで物語を演じる役者のように手を動かすのです。
- 更には 踊りのように指揮する トゥガン・ソヒエフ。
- 左右の手をせわしなく動かす ズデニェク・コシュラー。
- 金澤先生「曲そのものは 変わらないんだけど あの微妙な表現ですね」
- 金澤先生「それが指揮者によってずいぶん変わってくる」
- 表現の仕方によって 曲の方向性を大きく変えてしまうほど 重要な役割を持つ指揮者ですが
- 金澤先生「実はですね 昔は指揮者 いなかったんですね」
- 金澤先生「作曲家自身が合奏をまとめてたんですね」
- 実は指揮者が誕生したのは 18世紀の終わりから19世紀の初めごろ。
- それ以前は 作曲家自身が演奏しながら周囲に支持を出し 自分のイメージ通りの音楽を演奏していたのです。
- しかし 作曲家が いつまでも生きているわけではありません。
- その結果 過去の作曲家の作品を演奏する機会が多くなったんです。
- 作曲家自身もいませんから…
- 作曲家に代わって その曲を再現する人が必要になる。
- それが指揮者である。
- その存在が広く知られるキッカケとなった曲があります。
- バッハのマタイ受難曲。
- 実はこの曲は あの結婚行進曲の作曲家として知られるメンデルスゾーンが バッハの死後に世に広めた曲だったのです。
- 金澤先生「バッハの時代はですね 曲をのちに残すということは あまり考えなかった」
- 金澤先生「演奏のために楽譜を書く」
- 金澤先生「演奏が終わったら どこかの棚に置いておく のまんまになっちゃう」
- メンデルスゾーンはこうして眠っていたマタイ受難曲の楽譜を発見。
- その楽譜を猛勉強し 自分が指揮者となって演奏会をおこない…曲を見事に復活させ世に広くしらしめたのです。
- 作曲が残した楽譜を発掘し 演奏してきた指揮者がいたからこそ…
- 私達は今 何百年も昔の曲を こうして聞くことができているのです。
- 楽譜から音楽を再現し伝えるために生まれた指揮者ですが…
- 同じ曲でも指揮者が違うと 全く別の曲になるといいます。
- 誰もがしるベートーベンの交響曲第5番 運命で比較してみると…
- 日本クラシック界のレジェンド 朝比奈 隆さんの運命。
- 深みのあるゆったりとした運命。
- 演奏時間は 41分34秒。
- 一方 スピード感溢れる指揮が持ち味のジャナンドレア・ノセダの運命は…
- 指揮台に上がった瞬間から息つく暇が無いほどの超高速。
- 演奏時間は 30分29秒。
- 同じ曲なのに およそ11分もの違いが…
- 曲をどのように解釈するかによって こんなにも大きく変わるのです。
- ところで指揮者は ”あること” に注意して 手を振っているそうです。
- 金澤先生「指揮者がサインを出すでしょ それを見て演奏家が音を出す」
- 金澤先生「見てから出すから ちょうどその間に 微妙な差がでるんですね」
- 先ほどの朝比奈さんの運命 指揮者の手の動きと演奏のズレに注目して聞いてみると…
- 指揮者が先に手を振って 少し後に演奏が始まっています。
- これは 一瞬早く手を動かす 先振り という技術。
- 楽器を演奏する人たちは 指揮者の合図を目で見てから演奏を始めるためズレが生じてしまいます。
- しかし 先振り で一瞬早めに手を振ることで理想のタイミングで演奏させることができるのです。
- そう 指揮者は常に 「一瞬先の未来」を見据えながら手を振っていたのです。
- 番組D「指揮者って大変ですね?」
- 金澤先生「いや あんまり大変じゃないと思うよ」
- 金澤先生「指揮者は自分で勝手にやってんだよ ハ ハ ハ ハ ハ」
チコちゃんに叱られる!なぜ指揮者は手を振る? まとめ
今回は チコちゃんに叱られる!なぜ指揮者は手を振る?
について情報発信させていただきました。